シェルター・アーク・ジャパン株式会社

シェルター最新動向レポート 2026年9月版 ─ 基準はまだ来ない、動いているのは自治体の側

シェルター最新動向レポート 2026年9月版 ─ 基準はまだ来ない、動いているのは自治体の側

先月から何が動いたのか。9月に入って、国が5年続けてきた指定の集中取組期間の結果が公表され、令和9年度の予算要求にもシェルターの費目が立ちました。ただし要求に立ったのは整備の補助金ではなく調査・研究費で、施設の技術的な基準そのものはまだ示されていません。数を増やす段は目標を達成して終わり、中身を決める段はこれからです。自治体・施設のご担当者に向けて、今月時点の全体像と、待つべき部分・待たずに始められる部分の切り分けを、月次のレポートとして整理します。制度の中身そのものは8月版で扱っているため、ここでは差分に絞ります。

今月の要点

領域

現在地

指定状況

令和8年4月1日時点の最新版が公表。前年から施設は2.0%、地下施設は7.3%の増加

5年計画

令和3〜7年度の集中取組期間が令和7年度末で終了。5年間で地下施設は約3.5倍に

国の基準

技術的な仕様や定義・名称、優先して取り組む地域の整理は「1年後を目途」=2027年春頃の見通し。9月中旬までに前倒しの発表は確認できていません

財源

令和9年度の概算要求にシェルターに係る調査・研究等として約1億2,300万円。整備への補助ではありません

自治体

東京都が八重洲駐車場の地下シェルター化を表明(8月7日)。都にとって2例目

訓練

令和8年度の共同訓練は34件、住民避難訓練は17件

国の組織

防災庁は11月に発足予定

平日の官庁街の街路。国の施策がどこまで進んだかを毎月追う定点レポートであることを示す。

動いたこと ─ 5年の集中取組期間が、目標を達成して終わった

緊急一時避難施設の指定状況(令和8年4月1日時点)が公表されました。全国62,382箇所、うち地下施設は4,540箇所です。前年から施設は1,240箇所(2.0%)、地下は307箇所(7.3%)増えました。

あわせて、令和3年度から令和7年度までの5年間を集中取組期間として指定を進めてきた取り組みが、令和7年度末で終わりました。期間中の増加は緊急一時避難施設が10,388箇所(20.0%)、地下施設が3,262箇所(255.2%)。取組目標だった各指定権者単位の人口カバー率100%は、全67指定権者で達成されています。

ここは正しく評価すべき結果です。ただし人口カバー率は施設の面積から換算した値で、実際に全員が入れたという実績ではありません。地下施設だけで見た人口カバー率は全国で5.9%にとどまり、防護機能を備えた特定臨時避難施設は先島諸島で整備予定という段階です。

この5年で数を積み上げてきたのは、指定権者である都道府県と指定都市でした。国の基準が示されるより先に、自治体の側が手元の建物を数え直して指定を積んだ結果が、この数字だと読めます。自分のまちの指定状況を調べる手順は緊急一時避難施設とはで整理しています。

動いたこと ─ 令和9年度の要求に立ったのは「調査・研究」

内閣官房の令和9年度予算概算要求の概要に、「緊急事態を想定した避難施設(シェルター)に係る調査・研究等」として123百万円、およそ1億2,300万円が計上されました。武力攻撃事態対処法の実施態勢の強化という項目が219百万円(前年101百万円)で、その内数にあたります。

読み方は二つに分かれます。ひとつは、国の予算要求にシェルターという言葉が独立した費目として立ったこと。もうひとつは、立ったのが調査・研究であって、自治体の整備に配る補助金ではないことです。令和8年度の地方財政措置を制度ごとに確かめて国民保護の枠がないと整理したシェルターに使える国のお金はあるのかの結論は、今回の要求でも変わっていません。

なお概算要求は各省庁が財務省へ出す要求であって、決まった予算ではありません。政府案は年末、成立は年明けの国会です。

動いたこと ─ 自治体が既存の地下に手を入れ始めた

小池百合子知事は8月7日の定例記者会見で、東京駅前の八重洲通りの地下にある都八重洲駐車場を地下シェルターとして整備する方針を明らかにしました。対象は地下1階と2階の約260台分の駐車スペースで、延べ床面積は1万平方メートルを超えます。2026年度から始めるのは、爆風や破片の飛散、建物の倒壊といったリスクの詳細調査です。都にとっては、都営地下鉄麻布十番駅に併設された都防災倉庫に次ぐ2例目にあたります。

この計画の読みどころは規模ではなく進め方です。調査を独立した段として先に置き、既存の営業を止めずに検討する。この順序は規模が違う自治体でも使えます。工程の刻み方は既にある地下をシェルターにする段取りで詳しく整理しました。

動いていないこと ─ 基準はまだ来ない

シェルターの技術的な仕様や定義・名称、優先して取り組むべき地域の整理は、基本方針で「1年後を目途」とされました。逆算すると2027年春頃です。9月中旬の時点で、この整理が前倒しされたという発表は確認できていません。

今月動いたのは、指定の実績を数え直した統計と、来年度に向けた調査・研究の要求です。どちらも施設に求める性能そのものを定めるものではありません。基準が示されるまでの空白は、9月が終わっても埋まっていないということです。

自治体・組織はいつ動くべきか

弊社は、基準を待つ期間と動ける期間を分けて考えることを勧めています。

待つしかないのは、仕様と等級に関わる部分です。壁の厚さや換気の要件は、2027年春の整理を見てからでないと確定しません。ここに先回りして投資すると、後から要件が変わったときに作り直しになります。

待たずに始められるのは、場所と用途と手順です。地下を持つ施設の棚卸し、その建物の改修計画の時期、平時に何に使う場所にするのか、そして指定した施設が実際に開くのかという点検。いずれも予算をほとんど伴わず、基準が出たあとにそのまま使えます。制度の全体像と自治体が取れる選択肢は自治体担当者のための核シェルター入門にまとめています。

次の月次レポートで追うこと

10月版では、11月に発足する防災庁で国民保護の担当がどう整理されるか、令和9年度予算の編成過程で調査・研究の費目がどう扱われるか、そして地域の防災訓練の現場で何が確かめられているかを追います。

関連記事

訓練が年に何件行われ、予定に入っていない自治体に何ができるのかは国民保護の訓練は年に何件行われているのかで、設備として何ができて何ができないのかは核シェルターとは何かで、自力で避難することが難しい方が日常的にいる施設の考え方は要配慮者のいる施設をどう守るかで扱っています。

出典

内閣官房・消防庁・内閣府「緊急一時避難施設の指定状況(令和8年4月1日時点)」 https://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/hinan/02_R8bunseki_kekka.pdf

内閣官房「令和9年度予算概算要求の概要」(令和8年8月) https://www.cas.go.jp/jp/yosan/pdf/r9_yosan_gaisan.pdf

内閣官房「緊急事態を想定した避難施設(シェルター)の確保に関する基本方針」本体および概要(2026年3月31日閣議決定) https://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/hinan/260331shelter_hontai.pdf / https://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/hinan/260331shelter_gaiyou.pdf

内閣官房・内閣府・消防庁「令和8年度における国民保護に係る国と地方公共団体の共同訓練の実施」(令和8年4月28日) https://www.kokuminhogo.go.jp/news/assets/R8kunrenyotei.pdf

Impress Watch「東京都、八重洲駐車場を地下シェルターに整備 ミサイルから避難」(2026年8月7日) https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2131801.html

東京報道新聞「ミサイル脅威で加速する首都防衛、東京駅前も『シェルター化』へ」(2026年8月) https://tokyonewsmedia.com/archives/26331

お問い合わせ

基準を待つ部分と待たずに動ける部分の切り分けは、施設の一覧を一度合わせるところから始まります。庁内で検討が始まっていない段階でも構いません。お気軽にご相談ください。

〒630-8115 奈良県奈良市大宮町7-1-65-1

TEL:0742-93-4563‬(受付時間:平日 9:00〜17:00)

「建てる」その先の「備える」パートナー。

「建てる」その先の「備える」パートナー。

シェルター・アーク・ジャパン株式会社 ©2026. All rights reserved.

シェルター・アーク・ジャパン株式会社 ©2026. All rights reserved.

〒630-8115 奈良県奈良市大宮町7-1-65-1

TEL:0742-93-4563‬(受付時間:平日 9:00〜17:00)

「建てる」その先の「備える」パートナー。

「建てる」その先の「備える」パートナー。

シェルター・アーク・ジャパン株式会社 ©2026. All rights reserved.

〒630-8115 奈良県奈良市大宮町7-1-65-1

TEL:0742-93-4563‬

(受付時間:平日 9:00〜17:00)

「建てる」その先の「備える」パートナー。

「建てる」その先の「備える」パートナー。